レーザーで完治は出来ない
第一選択である色素レーザーについて述べる。現時点、レーザーでは完治できない。お風呂に水をためている場面を想像して欲しい。たまった水の量があざの色の濃さを示す。治療をしていない状況は、栓を閉め、水道の蛇口が開いている状況である。水はたまっていくばかり。治療は栓を抜く作業に等しい。水は減る。場合によっては水がなくなるかもしれない。しかし蛇口は開いているままのためまた水はたまっていくのである。
副作用はほとんどない
瘢痕形成が稀にあるが、痒さにより掻いたものが大部分で、手術による純粋な瘢痕は少ないとの報告がある。また、純粋な瘢痕を残した例についても“報告者は”軽微であり整容上問題ないとしている。3ヶ月以上続く色素沈着や色素脱失は各1-5%で起こるという報告がある。しかしいずれも6ヶ月以内にはほぼ全例消失し、最終的な問題はないと報告者は結論付けている。色素レーザーを使用するに当たって、副作用はそれほど神経質にならないようでよさそうである。しかし色素沈着や色素脱失が術後起こると、次回の手術はそれらが退失した後でなければならないので全体として治療期間が長くなってしまう。乳幼児期の治療では、色素沈着の退失と加齢による皮膚の変化を天秤にかけ、色素沈着が残ったままの治療の方がよい、という考え方もある。色素沈着を避けるには、遮光が有効である。紫外線を防ぐため、サンスクリーンクリームやカバーマークなどが用いられる。色素沈着の予防のため、ハイドロキノン軟膏も有効である。そして、これら術後の症状が消退した後に治療効果判定を行う。
色素沈着(pigmentation)は組織へのヘモジデリン沈着(hemosiderosis)によるものである。ヘモジデリンとは貯蔵鉄中のフェリチンが有効活用されずに変性したもので、不溶性蛋白。皮膚に蓄積すると青銅色を呈する。
他にはpyogenic granuloma(膿原性肉芽腫化; 膿性肉芽腫)がレーザー後に発生するとのレポートがある。100人の被検者のうち1人の割合とのことで、あまり重要視はされていない様子。→Br J Dermatol. 1996 Mar;134(3):475-80.→Cutis. 2004 Mar;73(3):175-80.
副作用はほぼない、とは言っても現時点での話であり、今後発見されるかもしれない。放射線療法のように。そのため、どんな治療でも未知のリスクを背負っている、ということは覚悟しなければならない。
薄くなるには複数回の照射が必要
治療をする上での最も大きな注意点は、治る確率が100%ではなく、しかも治るとしてもに多くの症例において複数回の照射が必要な点である。そして、それに伴う金銭的負担がこの問題点に立体的な深みを持たせている。例えは悪いが、最終的に治らなかった場合、たけのこはぎに遭った後のような後味の悪さがあるかもしれない。治療を行う上で、上記のことはしっかりと認識する必要があると考える。しかし一方、粘り強い繰り返しの治療が大切であることも同時に理解する必要がある。治療回数を重ねることが良好な結果を生み、その回数、通常6-12回の照射が必要だと言われている。しかしそれでも治らない例があることは忘れてはならない。過度の期待を持つことは危険であるが、大きな不安もまた持つ必要はない。
治療には施術者の経験が重要
もう一つの注意点は施術者の経験が重要であるという点である。色素レーザー治療を行うに当たって、パルス幅やエネルギー密度、波長、照射スポット面積、DCD設定値等の可変のパラメータを適切な値に設定する必要がある。これらパラメータは万人共通というものではなく各人の症状症例に合わせて設定することが要求される。そのため教科書や論文説明書等を熟読して体得できるものではなく、施術者の経験を糧にした学習がモノをいってくる。そのため、使用するレーザーの経験が多い施術者とそうでない施術者とでは治療成績に大きな格差が生まれると思われる。